身近な野菜のなるほど観察記

身近な野菜のなるほど観察記

身近な野菜のなるほど観察記

稲垣 栄洋 (著), 三上 修


おもしろい本を見つけました。テーマは“野菜のキモチ”

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学生時代に古いアパートの友人の部屋で、不思議な光景を見た。

部屋のすみっこ、万年布団とゴミの山のすき間からキレイな黄色い花が咲いているではないか。

おんぼろ部屋と可憐な花、どう考えてもおかしいぞ。

おそるおそるかき分けてみると、そこには鍋物に使ったハクサイのかけらが無造作に置かれ

すくすくと育ち花を咲かせたのである・・・

 

というのは「身近な野菜のなるほど観察記」の著者

稲垣栄洋(いながきひでひろ)さんの体験談。

 

あらヤだわ、といいたくなるようなエピソードではありますが

学生の部屋というのはいつの時代もこんな感じなのでしょう。

ハクサイも精一杯生きているんだ、と著者は妙に感動したとか。

 

野菜の本といっても、料理や味付けといった内容は期待しないでくださいね。

 

ここでは野菜を「野生の植物」と位置づけ

お皿のうえのよそゆきの顔になる前の、

草木としての野菜たちの素の顔をみることができる。

  

野菜だってもとは野生の植物だったのだ

野性の力は今でも彼らの中に存在している、と。

 

しかし一方では、人間様のご都合にあわせるために勝手に改良を加えられ、

味はもとより姿かたちをも操られてきたのである。

 
  
 
キャベツやピーマン、イチゴなど、普通の野菜たちのエピソードが

人間の生活様式やイマドキの話とからませて、ひとつひとつ読みきりとなっています。

野生の土臭い雰囲気はなく、むしろエッセイ集として読み進めることができそうです。

 

野菜の素顔をみることで、彼らのキモチがわかった気分になれるかもしれません。

 

 
また、イラストを担当した三上修(みかみおさむ)さんの画風も

この本のお味をうまく引きだしています。

 

細い線だけでリアルに描く三上さんの植物画欲しさに

つい本を手にとってしまう隠れファンもいるそうですよ。

(私はイラストを見たとたん、数年前に渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで

鑑賞したルドゥーテ展を思い出してしまいました。)

 
 

八百屋で買ってきた野菜をまじまじと見つめ、その野菜が育った野菜畑に思いを馳せてみてもいい。

(エピローグより)

 

言われるがままに、野菜を見つめたくなる。

そんな著者のたくらみにのせられるかは、本を手にしてからのお楽しみ。



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2005年10月18日 19:08